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講習会レポート

学術講習会報告レポート Vol.1
2002年4月
「脊柱マニピュレーションの落とし穴:腰椎編」

講 師: 小林 忠正

テーマを「脊柱マニピュレーションの落とし穴」と題して、頚椎編、腰椎編、総集編の3回シリーズで行った。
脊柱に対するカイロプラクティック・アジャスト=マニピュレーション(いわゆる背骨をボキボキ鳴らすような手技)の即効性の裏にある危険性を小林忠正D.C.にレントゲン写真のスライドを用いて、脊椎における疾患の解説をしていただいた。

また、診断の一つである整形外科的検査法等をご指導いただき、実際の患者への治療風景もビデオで露していただいた。

第1回 頚椎編
第1回目の頚椎編では、頚椎マニピュレーションで問題とされる医療事故の実態を解説していただいた。脊柱における病理退行変性もしくは、発育異形成が存在する椎骨、椎間、脊柱管へのマニピュレーションは、神経根、脊髄に損傷を与えるケースがあり、その神経レベルの障害、上部頚椎においては、延髄損傷による死亡事故を起こすメカニズムについて、実際に患者としておとずれた方のレントゲン写真をもとに説明があった。 特に大きな症状を訴えない患者の中にもOPLL※(後縦靭帯骨化症)を診ることがあり、それを知らずにマニピュレーションを施したための脊髄症、またルシュカ関節の退行変性による骨棘形成をマニピュレーションしたための神経根症、脊髄症を誘発するメカニズムも解説していただいた。

※OPLLは後縦靭帯という軟部組織が骨化し硬組織に変化するため頚椎への過度の刺激が脊髄への損傷を与える。ルシュカ関節の変性ではその骨棘が脊柱菅内、椎間孔内に及んでいた場合その棘が脊髄、また脊髄神経根を傷つける。

第2回 腰椎編
第2回目の腰椎編では「治せる腰痛、治せない腰痛」を副題として、治せない=根治出来ない、
触ってはいけない腰痛を解説していただいた。
椎間板の変性による椎間板ヘルニアの発生メカニズム、腰椎マニピュレーションにおいての医療事故が多い先天性の異形成(移行椎、特にベルトロッティーズシンドローム等)、先天性異常に伴った病理退行変性(分離症、辷り症等)を解説していただいた。
特に腰痛を訴えて来院される患者に分離症が多いということと、それを知らずにマニピュレーションをしたために辷り症となる医療事故についてお話いただいた。


第3回 総集編
第3回目の総集編では、小林先生の治療院へ来院された患者のケーススタディ方式で前回までの頚椎、腰椎の復習を行った。また、側彎症とそれに対するShoe Lift(シューリフト=足底板)等のマニピュレーション以外のアプローチも解説していただいた。最後に、前回までの質疑応答と整形外科的検査法、病的反射等の検査法が実演指導された。

3回の講義を通じての先生の言葉
『カイロプラクティック・アジャストは病気を治すこともできれば、逆に人体に害を及ぼすこともある。アジャストを試みる人により必ず何れかに作用する』
カイロプラクティック・アジャスト、それに類するような整体で脊柱へのマニピュレーションをすることは、自分の診療領域なのか否か…原因因子の精査無くしてマニピュレーションをすることは治療する者のリスクであり、患者に害を与えるだけかも! と締めくくられた。