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講習会レポート

学術講習会報告レポート Vol.8
2005年10
「運動器疾患の動作分析・評価と実演

講 師: 鈴木 俊明

 第1部では、理学療法評価の基礎と実際に臨床でどのように動作分析をしていくかを動画・資料、実演を交えながらの講義、第2部では第1部で導き出された問題点にアプローチするための、皮膚のダイレクトストレッチ・筋のダイレクトストレッチや、正常動作獲得のために臨床動作促通法のデモンストレーションが行われた。

第1部 講義
(1)評価の分類と特徴
 @トップダウン過程の評価の流れと特徴
   問診→動作観察→問題点の予想→理学療法検査→問題点発見→理学療法と進む。
       「長所」:検査時間が短く(動作観察ができればすぐに問題点が出る)
            検査が全て問題点に反映される。
       「短所」:評価者の能力に左右される。
 Aボトムアップ過程の評価の流れと特徴
   問診→理学療法検査(動作観察も含む)→問題点発見→理学療法と進む。
       「長所」:未熟練者でも評価可能である。
            動作不可能な患者評価に必要である。
       「短所」:時間がかかる。

(2)動作分析
動作分析とはトップダウン過程の評価の流れで、
       「動作観察→問題点の予想→理学療法検査→問題点の決定」
これらの一連の流れをまとめていう。動作分析をするにあたって重要なことは最初に行う問診となる。困っているADLを聞き、まず何を改善しなければならないのかを考え、患者さんの主訴とニーズを上手に引き出し、困っているADLに関連している基本動作を導き出す(立つ・歩く・階段を上り下りするなど)。そして基本動作の特徴は何か考える(環境・受傷機転・今までの理学療法など)。問診で得た情報をもとに動作分析をしていく。
         「異常動作観察→正常動作との比較→問題点を抽出」
そして、能力障害と機能障害との関連を導き出す。

筋・骨格系に異常があると、感覚・知覚入力系にも異常として入力されるので注意が必要である。問題点を予想するには「正常動作」を理解し、そして異常動作を分析する。

@関節運動の順序性 A関節運動の相対的な関係 B動作における各関節角度の変位
この3点を意識しながら動作全体を3Dで見られるようにし、短い時間で異常動作を見つける。

 関節の動きと重心の移動
   
 股関節屈曲(重心前方へ)→膝関節屈曲(重心下方へ)→膝関節伸展(重心前方へ)
                               →股関節伸展(重心上方へ)→立ち上がり

    

    

    

歩行動作に異常がある患者は後ろ(足)に体重が乗って残っているから上体が前にきて、前傾姿勢になっている。したがって体重が足にキチンと乗らなくなり、良肢にも異常をきたす。動作観察・動作分析からストーリーをつくることが大事である。『疾患による障害の特徴、受傷機転、生活習慣、今までの理学療法』から、なぜこのような動作を行うかについてストーリーをつくる。

(6)動作分析からの理学療法の展開
  @二次的障害:筋レベルの変化のこと。
   二次的障害へのアプローチには皮膚・筋へのダイレクトストレッチなどを用いる。
  A一次的障害:中枢神経機能の変化のこと。
   一次的障害へのアプローチには神経生理学的アプローチ、持続的筋伸張などを用いる。
  B正常動作の獲得:動作の中で獲得する方法を用いる。
  C正常動作の持続:自主トレーニング指導などを用いる。
  ※動作分析の結果、導き出された問題点に対して、@〜Cへと理学療法を展開していく。
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第2部 実技
 
二次的障害へのアプローチとして「皮膚のダイレクトストレッチ」「筋のダイレクトストレッチ」を、受講者の中より20歳の男性をモデルに、解説をしながらデモンストレーションが行われた。まず問診をし、その後、動作分析を行った。背部と腹部に問題点が見つけられたため、最初に背部の筋に対して筋のダイレクトストレッチを行った。その後、腹部に皮膚のダイレクトストレッチを行った。再度、動作分析を行い、異常性がないのを確認しデモンストレーションを終了した。
※「皮膚・筋のダイレクトストレッチ」、「臨床動作促通法」については、デモンストレーションが終わった後、鈴木俊明先生が受講生のもとをまわり直接指導を行った

実技解説
【皮膚のダイレクトストレッチ】
 筋肉の走行に沿って軽く触れ、引っ張り捻るようにストレッチをかけていく。
 ずっと短縮位にあって硬くなった皮膚に対して行う方法。

【筋のダイレクトストレッチ】
 直接筋肉を持ち引っ張り、捻るようにストレッチをかけていく方法。

【臨床動作促通法】(Clinical Motion Facilitation Method:CMFM)
 この方法は、基本的には患者の動作を自然に誘導することを目的にしている。セラピストが 患者を動かす、抱えて動かすということではなく、患者が動きたいと思う方向に誘導しながら少しずつ正しい筋緊張を調整する。

@立位の患者の両肩を後方よりそっと触れ、誘導したい側の肩を軽く誘導したい方向より圧を加える。すると、患者は自然と圧を加えられた方向に重心を移動する(自然に足が前に出る)。これを利用して誘導し、歩かせていくと正しい体重のかけ方や筋の動かし方を身に付けることができる。

A立位の患者の両前腕部を前方よりそっと触れ、誘導したい側の前腕を軽く誘導したい方向より圧を加える。すると患者は、自然と圧を加えられた方向に重心を移動する(自然に足が前に出る)。これを利用して誘導し、歩かせていくと正しい体重のかけ方や筋の動かし方を身に付けることができる。